入院したら、施設に入ったら、
障害者の手当はどうなる?
止まる手当と止まらない手当、届け出が必要になる場面を整理しました。
入院が長引いたとき、家族が施設への入所を考えはじめたときに気になるのが、 「いま受けている手当はどうなるのか」です。
答えは手当によって違います。同じ人が受けている手当でも、 ひとつは止まり、もうひとつは止まらないということが起こります。
先に結論
- 障害年金は、入院しても施設に入っても止まりません。
- 国の特別障害者手当と、都の重度心身障害者手当は、入院が3か月を超えると受けられなくなります。施設に入所した場合も受けられません。
- 区市町村の手当は、ほとんどが「施設に入所したら止まる」だけで、入院では止まりません。ただし例外があります。
- 止まる場合は、自分で届け出る必要があります。遅れると、受け取った手当を返すことになります。
1「入院」と「施設入所」は別に扱われる
手当の案内には、「施設に入所している方」と「病院に3か月を超えて入院している方」が、 別々の項目として書かれていることがよくあります。
法律でも分けて書かれているものがあります。たとえば国の特別障害者手当は、 施設への入所と、病院・診療所への継続した3か月を超える入院を、 支給しない理由として別々に挙げています(特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第26条の2)。
つまり、施設入所で止まる手当が、入院でも止まるとは限りません。 まずは、受けている手当がどちらに当たるかを確認することが大切です。
この記事は東京都の制度を中心にまとめています。 障害年金・特別障害者手当・障害児福祉手当・特別児童扶養手当は国の制度なので、全国共通です。
2手当ごとの早見表
| 制度 | 実施 | 施設に入所したとき | 入院したとき |
|---|---|---|---|
| 障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金) | 国 | 止まらない | 止まらない |
| 特別障害者手当 | 国 | 受けられない | 3か月を超えると受けられない |
| 障害児福祉手当 | 国 | 受けられない | 法律上の制限なし(※) |
| 特別児童扶養手当 | 国 | お子さんが入所すると受けられない | 制限の記載なし |
| 重度心身障害者手当 | 東京都 | 受けられない(短期入所は受けられる場合あり) | 3か月を超えると受けられない |
| 区市町村の手当(心身障害者福祉手当など) | 区市町村 | ほとんどの手当で受けられない | ほとんどの手当で制限なし(例外あり) |
※障害児福祉手当は、法律に入院による制限がありません(同法 第17条)。 ただし、入院先が「療養介護」を行う病床や指定発達支援医療機関の場合と、 措置入院など法令にもとづく命令で入院した場合は、 施設に入ったのと同じ扱いになります(障害児福祉手当及び特別障害者手当の支給に関する省令 第1条)。 自治体によっては、案内に入院の制限を書いているところもあります。入院が長引くときは窓口で確認してください。
障害年金が止まる理由は、法律で決まっています。障害の状態が軽くなったとき、 労働基準法による障害補償を受けるときなどで、入院や施設入所は含まれていません (国民年金法 第36条・第36条の2、厚生年金保険法 第54条)。 入院中も施設に入ってからも、年金は受け取れます。
33か月を超える入院で止まる手当
国の特別障害者手当(月30,450円)と、都の重度心身障害者手当(月60,000円)は、 病院・診療所に継続して3か月を超えて入院すると受けられなくなります。 どちらも、日常生活でいつも介護が必要な重い障害のある方のための手当で、金額も大きいものです。
特別障害者手当について、都内の区市の案内では、介護老人保健施設(老健)や介護医療院も、この「病院等」に含めて 数えています(足立区・世田谷区・国立市)。 老健に入所して3か月を超えた場合も、止まる可能性があります。
反対に、区の手当では老健や介護医療院への入所を支給対象としている例があります(足立区・大田区)。 同じ老健に入所していても、国の手当は止まり、区の手当は続く、ということが起こります。
都の重度心身障害者手当は、短期入所(ショートステイ)であれば受けられる場合があります(東京都の案内)。
「継続して」とあるため、入院が途切れずに続いていることが条件です。 途中で一時的に退院した場合や、転院をはさんだ場合の数え方は、窓口で確認してください。
4「施設」に入るもの、入らないもの
「施設に入所したら止まる」というときの「施設」は、どこでもよいわけではありません。 法令や条例で、対象の施設が決められています。
国の特別障害者手当で「施設」とされているのは、主に次のところです(同法 第26条の2、同省令 第14条)。
- 障害者支援施設(生活介護を受けている場合)、療養介護を行う病床
- 特別養護老人ホーム、養護老人ホーム
- 救護施設、更生施設
- 国立のぞみの園 など
一方、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅は、この中に入っていません。 足立区は特別障害者手当の案内で、短期入所(ショートステイ)、有料老人ホーム、 サービス付き高齢者住宅、グループホームは支給対象と明記しています。
区市町村の手当も、多くは同じ考え方です。西東京市は、施設に含まれないものとして 有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホームを挙げています。 新宿区・福生市も同じ趣旨の案内をしています。
ただし足立区の手当は、グループホームなどで生活している場合でも、その場所が区外だと対象外としています。 お住まいの自治体の外にある施設や住まいに移るときは、あわせて確認してください。
ただし、区市町村の手当では、国の手当より対象の施設が広いことがあります。 たとえば大田区・西東京市は、軽費老人ホームも「施設」に含めています。 入所先が決まったら、その施設が対象に当たるかを窓口で確認してください。
5区市町村の手当は、入院では止まらないことが多い
このサイトに掲載している、東京都の区市町村独自の手当57件(50自治体)について、 公式ページや条例の記載を確認しました。
| 確認したこと | 手当の数 |
|---|---|
| 施設に入所すると受けられない | 55件 |
| 入院すると受けられないと明記 | 1件(調布市) |
| 入院中も受けられると明記 | 3件(足立区・葛飾区・文京区) |
ほとんどの手当は、支給しない理由として「施設に入所している方」を挙げていて、 入院には触れていません。足立区は「長期入院中の方は支給対象」、 文京区は精神障害者向けの手当で「病院に入院中の方」は支給対象と、はっきり書いています。
例外は、調布市の心身障害者交通(おでかけサポート)手当です。 市の手当ですが、病院・診療所に継続して3か月を超えて入院すると支給されません。 入院が3か月を超えたときは、届け出が必要です。
また、清瀬市の福祉タクシー利用助成とガソリン費補助は、入院中の方を対象外にしています(期間の定めはありません)。 手当ではありませんが、入院中は使えない助成もあることに気をつけてください。
反対に、三鷹市の一般障がい手当(月4,000円)は、条例に施設入所による制限がありません。 入院について書いていない手当も、入院が長引くときは念のため窓口で確認してください。
6届け出が遅れると、返すことになる
手当を受けられない状態になっても、手当は自動では止まりません。 受け取る側が届け出る必要があります。
手当は、後からまとめて振り込まれます。特別障害者手当なら、2月・5月・8月・11月に、 その前の月の分までが支給されます(東京都の案内)。 そのため、入院や入所の後も、気づかないうちに振り込みが続いてしまうことがあります。
足立区は、必要な届け出がされずに手当を受けていた場合、その期間の手当は全額返還としています。 杉並区も、施設入所の申し出が遅れた場合などは、払いすぎた手当を返してもらうとしています。
届け出が必要になるとき
- 施設に入所したとき
- 入院が3か月を超えたとき(特別障害者手当、重度心身障害者手当、調布市の交通手当など)
- 退院・退所して、もう一度受けたいとき(次の項目)
本人が入院中で手続きが難しいときは、家族が窓口に連絡して、必要な書類を確認してください。
7退院・退所したら、もう一度申請する
入院や入所で受けられなくなった手当は、退院・退所しても自動では再開しません。 足立区は、退院・退所で再び対象になった場合は再申請が必要としています。
再申請には、ふつうは医師の診断書が必要です。 世田谷区は、長期入院などで資格を失った方が再申請するとき、 病院などで作成した意見書を付ければ、認定用の診断書の再提出を省略できる場合があるとしています。 退院が決まったら、早めに病院と窓口に相談しておくと、手続きが進めやすくなります。
区市町村の手当には、65歳以上の新規申請を受け付けないものが多くあります。 ただし北区は、施設入所などの理由で65歳になる前に申請できなかった方は対象になる可能性があるとしています。 足立区も、65歳になる前日に対象外の施設に入所していて、その後退所した方を例外にしています。 65歳を過ぎてから施設を出た場合も、あきらめずに確認してください。
都の重度心身障害者手当も、65歳以上の方の新規申請は受け付けていません。 65歳を過ぎてから退院・退所して再申請する場合の扱いは、窓口で確認してください。
まとめ
- 障害年金は、入院しても施設に入っても止まりません。
- 特別障害者手当と重度心身障害者手当は、施設入所に加えて、3か月を超える入院でも止まります。
- 区市町村の手当は、施設入所で止まり、入院では止まらないものがほとんどです。
- 止まるときは届け出、再開したいときは再申請が必要です。
お住まいの自治体でどの手当が使えるかは、 4つの質問に答える診断でまとめて確認できます。 診断では、入院・入所の状況も条件として判定しています。
調査の方法について
- 2026年10月11日時点で、法令(e-Gov法令検索)と、東京都・各区市町村の公式ページを確認しました。
- 区市町村の手当は、このサイトに掲載している57件(50自治体)について、各自治体の公式ページの「支給の制限」「対象にならない方」などの記載と、必要に応じて条例を確認しました。
- ある施設が「施設」に当たるかどうかは、自治体の判断になることがあります。入所先が決まったら、窓口で確認してください。
この記事の出典
- 特別児童扶養手当等の支給に関する法律(e-Gov法令検索) 第17条(障害児福祉手当)、第26条の2(特別障害者手当)(確認日 2026-10-11)
- 障害児福祉手当及び特別障害者手当の支給に関する省令(e-Gov法令検索) 第1条・第14条(対象となる施設)(確認日 2026-10-11)
- 国民年金法(e-Gov法令検索) 第36条・第36条の2(障害基礎年金の支給停止)(確認日 2026-10-11)
- 厚生年金保険法(e-Gov法令検索) 第54条(障害厚生年金の支給停止)(確認日 2026-10-11)
- 東京都心身障害者福祉センター「特別障害者手当(国制度)」 月額、支給月、入院・施設入所の扱い(確認日 2026-10-11)
- 東京都心身障害者福祉センター「東京都重度心身障害者手当」 月額、入院・施設入所・短期入所の扱い(確認日 2026-10-11)
- 東京都心身障害者福祉センター「障害児福祉手当(国制度)」 施設入所の扱い(確認日 2026-10-11)
- 東京都心身障害者福祉センター「特別児童扶養手当(国制度)」 施設入所の扱い(確認日 2026-10-11)
- 足立区「特別障害者手当(国の制度)」 介護老人保健施設の扱い、支給対象となる住まい、届け出と返還、再申請(確認日 2026-10-11)
- 足立区「障がい者福祉手当(区の制度)」 長期入院中・介護老人保健施設の扱い、区外の住まいの扱い、65歳以上の申請の例外(確認日 2026-10-11)
- 世田谷区「特別障害者手当 障害児福祉手当(国制度)」 介護医療院・介護老人保健施設の扱い、再申請時の意見書(確認日 2026-10-11)
- 国立市「手当、年金について」 介護老人保健施設の扱い(確認日 2026-10-11)
- 杉並区「特別障害者手当(国の制度)」 届け出と返還(確認日 2026-10-11)
- 西東京市「心身障害者福祉手当(都・市の制度)」 「施設」に含まれるもの・含まれないもの(確認日 2026-10-11)
- 大田区「大田区心身障害者福祉手当」 「施設」に含まれるもの、介護老人保健施設・介護医療院の扱い(確認日 2026-10-11)
- 葛飾区「心身障害者福祉手当(区制度)」 入院・短期入所の扱い(確認日 2026-10-11)
- 文京区「精神障害者福祉手当」 入院中・グループホーム入居中の扱い(確認日 2026-10-11)
- 調布市「各種障害者手当」 心身障害者交通(おでかけサポート)手当の支給の制限と届け出(確認日 2026-10-11)
- 清瀬市「各種手当」 福祉タクシー利用助成・ガソリン費補助の対象外となる方(確認日 2026-10-11)
- 三鷹市心身障がい者福祉手当条例 一般障がい手当の支給制限(確認日 2026-10-11)
- 北区「心身障害者福祉手当」 施設入所で65歳までに申請できなかった方の扱い(確認日 2026-10-11)
制度は毎年4月ごろに改正されます。お読みの時点で金額や条件が変わっている可能性があります。 申請の前に必ず窓口でご確認ください。 誤りを見つけられた場合は訂正のご依頼からお知らせいただけると助かります。